ブラ市の自治の話をわかりやすくお話しする前提として、イタリアの自治体運営の仕組みについて少し触れておきたいと思います。これも、専門外のことですので、素人の間違いはご容赦ください。
地方自治制度としては、ブラも含めて市町村は市長と議会という代表民主制をとっています。デュヴェルジェ風にいえば、準大統領制型代表民主制ということになりましょうか。アメリカ大統領制型ではなく、首長と議会とが一体の例が多い欧米型に近い制度です。つまり、市長は、一応は選ばれるのですが、市議会のメンバーでもあります。市長・議員の被選挙権は、イタリア共和国の有権者であること、18歳以上であること、住所要件は不要なことなどです。首長・議員の任期は5年です。この市長がいわば閣僚(評議会評議員と翻訳されることが多いのですが、執行委員といった方がよいかもしれません)を指名して、執行部を形成するのです。もちろん議会による首長の不信任が議決されると、首長も議会議員も改めて選挙ということになります。
市長と議会議員は住民によって直接選挙されるのですが、これも特徴があります。イタリアの政治制度は、今では、完全比例代表制による議会議員選挙と、小党分裂状況ですので政党の連合グループによる議席争いで知られています。それは地方選挙でも同様です。ただし地方選挙の首長の選び方は、少し違います。国の大統領が国会議員や各州代表によって間接選挙されるのに対して、直接選挙になっています。ただし選挙のシステムは複雑で、ブラ市の場合も、中道左派、中道右派が軸となって、政党連合を組んで、市長候補を掲げて、選挙戦を戦います。その政党と候補者の提携状況は、市長候補とそれを支援する複数の政党グループの議員候補者のリストとなっていて、それらのリストのなかから、住民が直接公選するという形式をとります。有権者は、市長候補と支援する政党あるいは候補者を一体として選ぶこともできますし、それぞれ別々に選ぶこともできます。 市長と市議会を置く制度になっているにもかかわらず、選挙の方法は、日本と全く異なっていますし、結果的には政治的な配置も違った状況にあります。このように、長と議会とが近い関係にある場合には、どのような地方自治の運営になるのか、日本との対比でも興味深い点です。ですが、この点については、またあらためて選挙の方法を少し詳しく報告します。