鳩山政権の看板として設置された行政刷新会議が、2010年予算のムダづかいを洗い出すために、「事業仕分け」の手法を取り入れました。
事業仕分けとは、行政が行う仕事について、その事業が本当に必要なのか、必要だとしても民間に任せられないのか、予算額が妥当かなどの観点から事業をチェックする手法です。もともとは民間シンクタンク「構想日本」が、2002年に全国の自治体を対象にはじめたアイデアです。ここで、構想日本の事業仕分けの手法について確認しておきましょう。
自治体の事業仕分けの場合、実施する自治体担当者が事業趣旨や内容を5分程度説明、その後、「構想日本事業仕分けチーム」(ほかの自治体の職員、民間、地方議員などで構成)による質疑と議論が20分程度行われます。
そして、事業仕分けにあたってのポイントは、以下の5点です。
国や自治体が行っている事業を、
1.予算項目ごとに、
2. 「そもそも」必要かどうか、必要ならばどこがやるか(官か民か、国か地方か)について、
3.外部の視点で、
4.公開の場において、
5.担当職員と議論して最終的に「不要」「民間」「国」「都道府県」「市町村」などに仕分けていく作業。
これまでに40の自治体と一部の省庁(文部科学省、環境省、財務省、外務省/各省ODA)を対象に実施した事業仕分けでは、「不要」か「民間に移管するべき」と判定した事業の予算額は、仕分け対象となった事業全体予算の約1割に上っています。
「外部の目」(特にほかの自治体職員)を入れる、「公開の場」で議論する、という点が特徴で、「仕分け人」はボランティア、すべて公開で行い、透明性を高めています。最近では、自治体の審議会委員や公募市民が担うなど、「事業仕分け」への市民参加も拡大しているようです。
仕分け作業で出た結果は、あくまで参考材料であり、拘束力はありません。これは、最終的に結論づけるのは首長、議会の責任との考えにもとづいているからです。ただし、論点についての再考や、結果がその後の庁内議論を経てどのように対応されたかを、公表することを義務づけています。予算や条例などに関わる変更(あるいは変更しないこと)の決定は議会権限です。仕分け結果をどのように受け止め、それに沿った措置をとるかどうかについて、説得力のある説明ができるかどうかという点からも、議員「力」が問われるところです。
行政刷新会議による事業仕分けも、これに準じた手法になると思われます。ただし、法令で義務づけられた事業については、「不要」とすることができない自治体レベルの事業仕分けとは異なり、法令改正をともなう仕分けも可能になるところが大きな違いです。それを受けて最終的には、国会がどのような議論を展開するかが注目されます。
2009年10月30日金曜日
事業仕分け
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