地方選挙の現場にはまだ立ち会っていなので、それがどんなふうになっているのかは、改めて報告したいと思います。とはいえ、この春にはピエモンテ州はじめ13州の選挙があります。メディアでの報道や各政党の運動は、すでに活発にはじまっています。ですが、ブラでは、候補者のポスターが繁華街に貼られているくらいで、格別町のなかで目立った動きはありません。選挙関係法令によって、選挙の30日前から選挙運動が始まりますので、まだ前哨戦で、ポスター程度ということでしょうか。ここブラは、小さな町ですから、そんなものかもしれませんが。
さて、市町村の選挙方法ですが、人口によって異なっています。前回お話ししたように、市長と市議会が直接公選される方式なのですが、人口1万5千人までの市町村では、すこし選挙方法が違っています。選挙に際しては、市長候補者とそれを支援する政党グループの議員候補者リストが作られます。A市長候補とそれを支持する政党(複数の政党が政治することも多いようです)、B候補と支持政党(ある候補者を当選させたいということで、その候補者名を冠した政党が支援することもあります)、以下同様に立候補者が、競争選挙をすることになります。そして、相対多数をとった市長候補者が当選し、その支援政党リストが議員の定数の3分の2を自動的に配分されます。得票数ではなく、勝利政党グループへの枠配分になります。
敗北した政党リストには、残りの3分の1の議席が、得票に応じてドント式で配分されます。なお、市長候補者の得票が同数になった時は、その2者間で決選投票、それでも同数のときは年長者が当選となります。
ブラのように人口1万5千人以上の都市でも、首長と政党グループに投票するのは同様です。ただし、市長候補者のいずれかが、有効投票の50%を得られなかった場合(絶対多数)には、上位2者による決選投票が行われます。勝利した政党グループには、議席の60%が配分されます。敗れた政党グループには得票に応じて、残りの40%の議席が比例配分されます。いずれにしても、市長候補者と政党グループは、それぞれに声明を出して、支援・被支援関係を宣言することになっています。これによって、ばらばらになりがちの政治状況を、多数派で統合していく仕組みが出来上がるという点では、イタリアの国政選挙と同様です。 この仕組みの特徴は、執行機関と議会とが法的にも政治的にも一体となっているという点です。市長も政治性が強いですし、同時に議会との関係が一体ですので、議会の意向は重大です。議会との関係がうまくいかなくなれば、簡単に解散選挙ということになります。もちろん、国政の政治リーダーのしくみと同様で、有力な市長候補者には、各政党の連合にも大きな政治的影響力をもった人物がなることが多いですので、いつも解散含みというわけではありません。
2010年2月23日火曜日
新川達郎のイタリア通信9号~地方選挙はどうなっているの?~
登録:
投稿 (Atom)