2010年1月12日火曜日

新川達郎のイタリア通信新春特別号~今年のイタリア政治は地方政治の季節?~

 イタリア政治は、国政では、昨年秋にベルルスコーニ政権にとって、首相自身のスキャンダルや裁判などを含めて危機的な状況があり、右派の団結を首相自身が訴えるなど、大変な状況だったのですが、どうやら、年末に暴行被害を受けてからは、風向きが変わったようです。そうはいっても、今年は、大きな政治の節目を迎えます。それは、この春に州政府の選挙がまとめて予定されているからです。
 分権型の政府構造をとってきたイタリアでは、当然のことながら、州の権限が大きいのですが、20ある州政府のうち13州の選挙があるのです。しかもそのうちの11州は中道左派政権です。今、各党ともに、候補者探し、連携相手探しに躍起になっています。このところ新年の新聞やテレビは、各政党の首長候補者探しや連携相手の政党探しの報道で賑わっています。
 イタリアの地方選挙は、基本的に首長の候補者とそれに連携する各政党の議員候補者のリストを一体的に作成し、政治勢力としては、与党と野党を明確にして運営を行おうというものです。したがって連携相手の政党を探しだすことと、とくに首長の候補者探しは、選挙結果を左右することから、大変注目を集めるニュースになります。
 2008年の国政選挙では、当時のブロディー政権は、中道左派の結集が必要だということで、民主党を結成し、選挙には敗れましたが、それなりの評価を受けてきたところでした。しかし、現実の選挙では、相変わらず、小党分立傾向が強く、民主党といえども選挙協力が必須です。
 民主党は、ローマのあるラツィオ州では、ケースバイケースで選挙協力をしてきた中道のUDC(中道連合)との連携を探ってきましたが、中道右派との連携を模索するUDC側の拒否にあい、急進派のリーダーの選択も含めて広く検討を行うこととし、それは2月までかかるだろうといわれています。一方、プーリア州では、UDCと民主党の選挙協力はスムーズに進みそうです。民主党としては、孤立して選挙を戦うことは、2009年のヨーロッパ議会選挙結果を見ても無理だと判断しており、より幅広い連携の相手を、中道派に求めているところです。しかし、民主党としてもこの選挙は国政の中間選挙にあたるという位置づけから、政権交代の可能性を見通して、中道右派との連携の意図はないとも報道されています。
 ところで、UDCの党首のカッシーニは、政治が左派と右派の2極に分かれることを批判して、中道を主張しています。それが右派あるいは左派との選挙協力にも表れています。
 日本の民主党政権は右も左も中道もありですが、次の参議院選挙をどのように戦うのでしょうか。これまで通り、バラマキ型のキャッチオール政党でしかないのでしょうか。それとも、政権初期の混乱を乗り越えて、新しい中道の軸を立てるのでしょうか。