2010年3月2日火曜日

新川達郎のイタリア通信10号~ブラ市の地方自治~

  さて、ブラ市には、市長はもちろん一人ですが、議員は20名います。議員の所属政党は、小党分裂状況でバラバラですが市長を支援したグループが、選挙制度からいえば当然ですが、過半数(60%)を占めます。日本ではよく問題になる議会の首長与党・野党の図式が、制度的にできているということです。
 市議会議員が20名と申し上げましたが、実はこれは法令で決まっています。住民が100万人以上になると60人、3千人以下だと12人という具合です。ブラ市は3万人弱の住民ですので、1万から3万の間の自治体の議員数20人というのが現状です。正確に確認はしていないのですが、日本のように定数削減の制度はないようです。このうち、選挙の際の市長を支援する政党・候補者グループに属していたのは、議長、副議長を除いて10名ですが、これも制度的に過半数になるように法で定められていることによります。
 市議会議長はファビオ・バイロさん、副議長はバルター・ベルジェシオさんです。政党は、本当にいろいろで、また所属議員の立場もいろいろで、小党分裂の離合集散が激しいイタリアらしいなと感じ入っているところです。中道左派系統からみていくと、国政では有力ですが民主党は1人、グイド・ガイア(大地の案内党とでも訳すのでしょうか?)2人、ブラの預言者3人、ブレラ左派1人、ブラの約束1人、中道右派系統では、キリスト教民主同盟自由クラブ1人、ブラプロジェクト3人、現首相支持派の自由人民4人、北部同盟1人、ピュラーとブラの未来1人、明日のブラ1人、となっていて、欠員1名のようです。何ともよくわからないグループがあって、日本の議会内会派よりも、もっと分裂錯綜した状況かもしれませんが、これをとりまとめているのが、やはり市長与党議員(選挙で支援を表明した政党グループ)で、これが、右派にも左派にもいるんですね。
 もちろん、ブラのような小都市の政治は、大都市や州の政治とは異なっています。ローマ、ミラノ、トリノ、ナポリなどの大都市や州の政府の選挙が、国政選挙と同様に、中道左派系と中道右派系の政党グループ間で戦われるのとは、やはり違っているようです。日本では、さしずめ、地方自治に政党は不要などという議論になるところかもしれませんね。
 どのように市政が運営されているのかは、また、次回ということにします。