イタリアは戦後憲法の制定にあたって、中央、州、県、市町村の階層の政治制度を設けました。いずれも大統領・議会制民主主義を基本としていますが、制度はそれぞれ少し違います。国レベルでは2院制をとっていますが、両院は対等です。違いがあるとすれば上院には、終身任期の議員がいることで、これは基本的には大統領経験者の議席とされています。両院の選挙で選ばれた大統領がおかれ、大統領が多数派の政党リーダーに組閣を命じます。政府の運営はこのリーダーを首相として、内閣を構成して行われます。
1948年憲法は、その役割として、地方自治を認識し、保護し、促進すること、国家レベルのサービスは可能な限り分権化されるよう保障すること、そして自治と分権を確立する原理と法を採用することにあるとしています。
そのもとで、まず州については20州からなる州制度をとっており、連邦制的な側面をもっています。とくに初期に州制度を導入した5州は、従来から分離主義的な勢力が強く、ローマの中央政府とは違った地域だという根強い地域意識のあるところで、北部のスロベニア・オーストリア・スイス国境地域の3州と、島であるサルディニアとシチリアの2州がそれです。その後、残りの15地域にも州制度が導入されましたが、最初の5州ほどの権限を与えられていません。県は110、市町村は8100ほどありますが、その人口規模や面積はさまざまです。