いよいよイタリアの春の選挙の時期が近づいてきました。統一地方選挙ではありませんが、半数以上の州政府選挙と、県と市町村の選挙が多数おこなわれます。私が暮らすブラ市でも、先週の金曜日(3月5日)に、3月28日日曜日と29日月曜日に投票が行われるピエモンテ州選挙の当日の選挙立会人の指名選出が、選挙委員会の公開の会議の場で行われました。選挙の立会人の指名は、いずれも、どこに投票所があるのかを告示して、選挙委員会で決定することにしています。
イタリアの選挙委員会は、2層制で複数の市町村を含む郡の単位の選挙委員会と市町村の選挙委員会があります。郡の区域は裁判管轄の区域であり、裁判所に属する形で郡の区画と権限、機能が法律で定められています。選挙に際しては、裁判所に属する郡行政管区事務局に立候補の届け出や、その更正、あるいは不服申し立てをすることになります。郡の単位の選挙委員会は県知事またはその代理が中心に運営を行います。構成は知事またはその代理者、知事が指名する1名の正規委員と1名の補充委員、県議会が指名する3名の正規委員と3名の補充委員です。知事を含めて5名になりますが、関係公務員や軍人は除斥されています。郡の選挙委員会は、選挙の立候補者リストの審査と認可、選挙人名簿の訂正に関して市町村選挙委員会の決定に不服の場合の訴えに対する審査と採決が主な仕事です。なお、郡の選挙委員会の事務局組織は高等裁判所(控訴裁判所)長官によって指揮されています。
各市町村の選挙委員会では、その委員は市町村議会で選出されます。原則すべての市町村に選挙委員会と選挙事務局を置くことになっています。議員数が50人未満のところでは、選挙委員会は、市長と3名の議員です(補充の3名の議員をあらかじめ選んでおきます)。50人を超えるところつまり人口が50万人以上の都市では、8名の議員が選ばれ市長と合わせて9名の議員で編成されます。なお、議会内の少数派からも委員を選ぶことにしているため、少数派が選出されなかった場合には、多数派の最低得票委員に替えて少数派の最多得票議員を招聘することにしています(以前説明しましたように、議会議員選挙時に勝利した市長とその与党は制度上多数議席を占めることになりますので、これに対する配慮です)。
人口3万弱のブラ市では、4名の選挙委員会というわけです。市町村選挙委員会は、選挙人名簿の管理と更新を主たる権能とし、選挙事務局を率いて選挙実務にあたります。選挙にあたっては、投票の管理、ポスター掲示場の設置管理を行います。
選挙は、もちろんそれぞれの団体の選挙なのですが、選挙の制度については、統一的に国の内務省が法律にもとづいて基準設定を行い、各選挙の実施の方針を定めます。地方自治が原則ですから、地方選挙についてはもちろん助言や支援にとどまるといっていますが、実際の選挙のやり方などは、ほぼすべて内務省の指示に従っているといってよいでしょう。そして、その内務省の指示を現地で実行するのが、県知事で、法令にもとづいて、各種の通達や情報提供をするのも県知事の名前で行います。