2010年2月3日水曜日

「条例」はどこにあるのか? その5~ネット上の例規集を活用しよう~

 実際に条例を確認する場合には、公布直後でなければ公報や掲示ではなく、例規集を確認することになるでしょう。
 近年の急速なICT政策の進展により、各自治体の例規集・要綱集が電子化され、ホームページに公開され、公開している自治体の例規については、居ながらにしてネット上で簡単に確認することができるようになってきました。以前であれば、報道や口コミで興味をもつ条例を知るたびに、当該自治体に問い合わせて、条文を郵送やファクスで送ってもらっていたものです。
 これはネット上で、議会や審議会の会議録や検討資料の閲覧ができるようになったことと併せて、市民への情報公開にとって画期的なことでしょう。
(ただし、ネット上の例規集・要綱集は、自治体によって更新頻度が大きく異なるので、検索の際は注意が必要です。)

2010年2月2日火曜日

「条例」はどこにあるのか? その4~情報通信ネットワーク(ITC)にどう対応しているのか?~

 インターネットの発達した時代に、掲示による公告では、やはり不十分だという批判はあると思います。そこで、電子化への対応をしているところがあります。たとえば、岩手県では、県報の電子化に対応して、「岩手県公告式条例」と「岩手県報登載規程」は2003年に以下のような規定を追加しています。
(電磁的方法による岩手県報の発行)
第6条 岩手県報は、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって規則で定めるものをいう。)により不特定多数の者が岩手県報に登載すべき事項の情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって規則で定めるものをとる方法により発行するものとする。
2 岩手県報の発行は、岩手県報に登載すべき事項を県の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに入力し、当該ファイルに記録された情報の提供を受けようとする者の求めに応じてその使用に係る電子計算機に県の使用に係る電子計算機から送信し得る状態となった時に行われたものとする。
○岩手県報登載規程
(登載手続)
第4条 主管課等(県報に登載する事項(以下「県報登載事項」という。)を担当する室又は課等をいう。以下同じ。)の長は、県報登載事項に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成するものとする。(以下略)

2010年1月27日水曜日

新川達郎のイタリア通信5号~ブラ市に暮らしています~

 私が住んでいるのは、ピエモンテ州、クネオ県、ブラ市というところです。ピエモンテはイタリア北西部にあって、人口130万人のトリノに州都がおかれています。フィアットの工場があったりと工業化が進んだ地域ですが、同時に、ポー川の上流域であり、アルプスの裾野にあたる地域でもあって、豊かな農業地帯です。最近ではピエモンテ州当局者は「食の都」を基本的な政策方針に据えつつあるところです。たとえばイタリア全体のなかでワインの生産は約16%を占め、バローロという有名な生産地域があります。また、珍味の一つとされるトリュフですが、それも白トリュフと呼ばれるものが取れるのもこの地域です。もちろん、野菜、米、トウモロコシの栽培、酪農、畜産も盛んです。
 ブラ市は、トリノから南に50キロほど行った丘陵地にあります。ワインで有名なアルバやアスティに近く、最近では、チーズでも知られているようです。人口は三万人弱の小都市で、高齢者の人口比率も20%程度と高齢化は進んでいるのすが、暮らしやすいせいか、2000年代に入って、人口が少しずつですが増えてきています。イタリアでも若者の大都市志向はある程度強いようですが、その一方では、生まれた土地や家族と一緒にいたいという意向も根っこにはあるようです。近年の若者の就職難はここでも同じですが、結婚しないで親と一緒にいるニートも含め20代30代の独身者が増えているといいます。
 文化的には、フランスとの国境に近いせいか、またかつてはフランスの領地だったこともあり、フランス文化の影響が強いようです。パン屋さんではクロワッサンも焼いています。この町自体は、あまり日本とはなじみがないようです。小さな町ですから、たまに観光客らしき人たち、あるいは食品関係の商売の人達が来ますが、日本人も、あるいは東洋系もごく少数です。なぜ私がここにいるのか、そしてブラ市がどんな自治体なのかは、またあらためてお伝えしたいと思います。

2010年1月25日月曜日

「条例」はどこにあるのか? その3~「公告式条例」とは?~

 具体的に、条例の公布はどのように行われているのでしょうか。例えば、「東京都公告式条例」には、以下のような規定があります。(公報への搭載による公布の例)
(条例の公布)
第二条 条例を公布しようとするときは、公布の旨の前文及び年月日を記入してその末尾に知事が署名しなければならない。
2 条例の公布は、東京都公報に登載してこれを行う。但し、天災事変等により東京都公報に登載して公布することができないときは、都庁内の掲示場及び公衆の見易い場所に掲示してこれにかえることができる。
(施行期日の特例)
第三条 東京都条例は、条例に別段の定めあるものの外は、支庁所在の島地においては、その所轄支庁に到達した日から、その他の島地においては、所轄町村役場に到達した日から起算して十日を経過した日から施行する。

 また、「青梅市公告式条例」には、以下のような規定があります。(掲示による公布の例)
(条例の公布)
第1条 青梅市条例は市長がこれに署名し公布の年月日を記入して公布する。
(公告式)
第2条 青梅市条例は青梅市役所、梅郷出張所、沢井出張所、小曽木出張所および成木出張所の掲示場に掲示して公告式とする。

2010年1月20日水曜日

新川達郎のイタリア通信4号~地方自治はどうなっている?~

 前回は地方分権と保守主義の関係を強調しすぎたかもしれませんが、地方自治が地域の歴史や文化、その風土に依拠したものである以上は、それは当然かもしれないということは確認しておきたいと思います。それはとくに市町村(こちらではcomuneと呼ばれています)のレベルで明らかです。20の州(regione)や110の県(provincia)が中央政府によって設けられ、柔軟に区割りされてきているのに対して、市町村は約8100ありますが、いまだに昔のまま残っているというところが多いのです。
 もちろん、合併や境界変更はありますし、広域的な協力体制はありますが、数百年あるいは千年を超える歴史をもって存続してきた自分たちの町は、自分たちの町のままであり続けよ、というのが基本のようです。もちろんイタリアでも都市化は進み、農村人口は減り続けていますし、特に大都市周辺地域への人口集中は顕著です。最大の市町村であるローマ市は人口270万人余り、最小の町は人口33人といいます。なおローマ市のような大都市には、都市内の自治組織として、municipiと呼ばれる団体があり、ローマには19団体が設けられています。
 市町村の仕事は、基礎的な行政単位として、住民サービスを提供することにあります。たとえば、出生や死亡の届け、諸証明事務、文化事業、市町村道の整備、各種の公共事業、たとえば清掃やコミュニティバスなどのサービスも提供しています。そして市町村自治体警察があることも特徴でしょう。なお、警察組織については、国家警察を含めていろいろな組織があります。
 たとえば在外研究に来て長期滞在する場合に外国人向け居住許可を出すのは、県に置かれた国家警察の一つであるクエストーラ(国家地方警察長官)の役割です。
 日本の地方分権改革では、相変わらず警察の問題は触れられずでしょうか。戦後すぐの自治体警察制度に戻せなどと言うつもりはありませんが、現在の警察の状況を見ていると、国家警察と地方出先機関の一番悪い面が出てきているように思います。もともとは、近代的な警察機構と警察の自治を目指した制度だったのですが、そろそろ限界かもしれません。
 イタリアがよいわけではないのですが、警察こそ分権化してみると、ずいぶん変わるのではないかと思えてなりません。イタリア警察事情については、機会があればあらためて、ご紹介したいと思います。

「条例」はどこにあるのか? その2~市民は条例をどのように知るのか~

 法律が効力を有するには、国会での議決を経て、内閣を経由して奏上がされ、天皇によって公布されることが必要です(国会法第65条など)。天皇による公布手続きを経た後、法律は官報に掲載されますが、最高裁判所は国民が官報を最初に閲覧・購入できる状態になった時に公布があったといえると判示しています。(詳しくは、参議院法制局「法制執務コラム集」
[http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column020.htm]参照。)
 官報の直近30日分については、独立行政法人国立印刷局が提供している「インターネット版『官報』」で閲覧することができます。
[http://kanpou.npb.go.jp/]
 また、現在、有効な法令は、総務省行政管理局が提供する「法令データ提供システム」で確認することができます。(ただし、最高裁判所が定める民事訴訟規則、刑事訴訟規則などの最高裁判所規則は収録されていませんので、裁判所のサイトなどでの確認が必要です。)
[http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi]
 一方、地方自治体の条例・規則の公布・施行については、地方自治法第16条に規定があり、同条第4項で「当該普通地方公共団体の長の署名、施行期日の特例その他条例の公布に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。」と定めています。これにもとづいて、各自治体で具体的な手続きを定める「公告式条例」を制定しています。

2010年1月16日土曜日

「条例」はどこにあるのか? その1~例規検索の現状~

 「議会基本条例は、今、いくつの自治体で制定されていますか?」
 「各地の議会基本条例の規定を見比べてみたいのですが、どうしたらよいですか?」
と条例づくりをしようとしている議員や市民の方から、報道関係者、レポートを課されている学生まで、各方面から問い合わせを受けます。
 ただし、すべての自治体の条例を把握している機関やデータベース(DB)は存在しません。
 例えば、上で述べた議会基本条例であれば、自治体議会改革フォーラム(呼びかけ人代表:廣瀬克哉法政大学法学部教授・本検定協会共同代表)がウェブサイトに「議会基本条例情報」を掲載し、各自治体へのリンクを張っています。しかし、議会基本条例は全国各地で制定が進められており、そのすべてが網羅されている保証はありません。
[http://www.gikai-kaikaku.net/gikaikihonjourei-info.html]