2010年1月27日水曜日

新川達郎のイタリア通信5号~ブラ市に暮らしています~

 私が住んでいるのは、ピエモンテ州、クネオ県、ブラ市というところです。ピエモンテはイタリア北西部にあって、人口130万人のトリノに州都がおかれています。フィアットの工場があったりと工業化が進んだ地域ですが、同時に、ポー川の上流域であり、アルプスの裾野にあたる地域でもあって、豊かな農業地帯です。最近ではピエモンテ州当局者は「食の都」を基本的な政策方針に据えつつあるところです。たとえばイタリア全体のなかでワインの生産は約16%を占め、バローロという有名な生産地域があります。また、珍味の一つとされるトリュフですが、それも白トリュフと呼ばれるものが取れるのもこの地域です。もちろん、野菜、米、トウモロコシの栽培、酪農、畜産も盛んです。
 ブラ市は、トリノから南に50キロほど行った丘陵地にあります。ワインで有名なアルバやアスティに近く、最近では、チーズでも知られているようです。人口は三万人弱の小都市で、高齢者の人口比率も20%程度と高齢化は進んでいるのすが、暮らしやすいせいか、2000年代に入って、人口が少しずつですが増えてきています。イタリアでも若者の大都市志向はある程度強いようですが、その一方では、生まれた土地や家族と一緒にいたいという意向も根っこにはあるようです。近年の若者の就職難はここでも同じですが、結婚しないで親と一緒にいるニートも含め20代30代の独身者が増えているといいます。
 文化的には、フランスとの国境に近いせいか、またかつてはフランスの領地だったこともあり、フランス文化の影響が強いようです。パン屋さんではクロワッサンも焼いています。この町自体は、あまり日本とはなじみがないようです。小さな町ですから、たまに観光客らしき人たち、あるいは食品関係の商売の人達が来ますが、日本人も、あるいは東洋系もごく少数です。なぜ私がここにいるのか、そしてブラ市がどんな自治体なのかは、またあらためてお伝えしたいと思います。