2010年4月15日木曜日

新川達郎のイタリア通信最終号~州政府選挙で政治はどう変わる~


 立て続けで恐縮ですが、選挙投票日になりましたので、少し選挙の状況をお伝えします。これがアップされる頃には、さまざまな速報が伝えられているかもしれません。
 私が暮らしているピエモンテ州では、民主党を中心とする中道左派と自ら中道派と称する中央民主党が支持するメルツェデス・ブレッソさんとその支持政党グループともども優勢のようです。
 ところでピエモンテ州議会議員は、2009年段階では63名で、政権を握る中道左派の中心となる民主党が21議席、これに続いて、ベルルスコーニ首相が率いる「自由人民」が17議席、それに次ぐのは組合運動の伝統もあって共産主義再建党の4議席、そして北部同盟が3議席です(前回選挙時には、左派も右派も統合前だったので、2005年の選挙のときの政党名は異なっています)。2005年には、保守系の前職をブレッソさんが破って当選したのですが、今回もブレッソさんが優勢のようです。(写真は、それぞれ選挙用のホームページからとってきたものですが、左から、ブレッソさんと民主党のロゴ、ブレッソさんの選挙バス、対抗馬のコータさんと支持政党[北部同盟、自由人民]のロゴです。)
 さて、全国的にみると、13州の選挙のそれぞれで、多少の変化がありそうですが、今のところ2005年に左派が獲得した10~11州程度は、民主党を中心とする中道左派政権あるいは連携する中道の民主主義中央党が確保しそうですし、保守側
も中道右派として2~3州程度は勝ちそうだと伝えられているようです。2006年の国政選挙で躍進した左派が、2008年の国政選挙で失った信任を取り戻すチャンスということになりますし、ベルルスコーニ政権にとっては、前々回の国政選挙を 2013年に再現させないためにも頑張りどころということでしょうか、首相自身は、極めて楽観的に予想しているようですが、さてどうなりますでしょうか。一方の民主党は、この選挙で大きく得票率を上げて、国政選挙に結びつけたいところです。
 以前に書きました通り、今回の選挙は、3年後の選挙の中間選挙の意味合いがあり、その趨勢で、次の政権の方向が決まると考えられています。とはいえ、直接的にこの選挙結果によって、大きな政治変動があるとは考えられていないと いうのが現状のようです。新聞各紙の論評を見ていても、確かにベルルスコーニ政権の評判はよくないのですが、しかしその高い人気は間違いないところで、スキャンダルや裁判騒ぎで票を落とすとしても、当面政治は変わらないというのが 一致した見方のようです。この選挙結果を受けて、よほどのことがない限り、国会の解散選挙は考えにくいというところのようです。
(そろそろ筆者も半年間のイタリア滞在を終える準備に入らなくてはならなくなりました。ここでイタリア通信を完結とさせていただきます。)